TOP 日日是自然 vol.2
自然とともに生きることの豊かさは、
昔から人々の暮らしの中に息づいてきました。
けれども忙しい日々の中で、その小さな幸せや感動を
見過ごしてしまいがちです。
人生にはどんな日にも意味があり、自然とともにある
暮らしにこそ幸せの種があります。
『日日是自然』は、四季折々の恵みや先人の知恵、
心と体を整える暮らしのヒントを通じて、
日常に自然を取り戻すきっかけになればと願っています。
小さな気づきが、大きなやすらぎにつながりますように。

味噌汁の力 身体に寄り添う、発酵の一杯

“なんとなく”の味噌を、“確信”の味噌へ。

日本人にとって、味噌汁は食卓に欠かせない存在です。
「身体に良い」とは漠然と感じていても、その具体的な力の源を知れば、今日から一杯への意識が変わるはずです。

味噌は、大豆を麹と塩で発酵させて生まれる、日本が誇る伝統発酵食品です。

戦国武将にも重宝された歴史があり、それには確かな理由があります。

味噌の発酵がもたらす三つの働き

味噌が身体に良いのは、発酵で生まれるアミノ酸・酵素・乳酸菌が、それぞれ身体を支えてくれるからです。 大豆のタンパク質が分解して生まれるアミノ酸は、身体づくりや疲労回復に役立ちます。

酵素は消化を助け、代謝を高めて身体を温まりやすくします。乳酸菌は腸内環境を整え、免疫力や便通の改善にもつながります。 こうした三つの力が重なり、味噌汁は身体を内側から整える一杯になるのです。

大豆の恵みを最大限に!味噌汁アレンジの力

味噌汁はアレンジの自由度が高く、具材次第で栄養価も大きく変わります。
豆腐や油揚げといった大豆加工品や旬の野菜を加えれば、一杯で良質なタンパク質と食物繊維を同時に摂取できる「完全栄養食」に近い一品になります。
さらに、季節の野菜やきのこを合わせることで、ビタミンやミネラルも補え、一杯で食卓全体の栄養バランスをぐっと底上げできます。

豚汁に代表されるように、肉類を入れればエネルギー源も確保でき、日々忙しく過ごす人に頼もしい一杯となります。

「手前味噌」を作るメリットと特別な栄養価

味噌は市販品も優れていますが、自分で作る「手前味噌」には格別のメリットがあります。
まず、安心・安全な材料を使えることです。自分で選んだ無農薬大豆や天然塩など、納得のいく材料で作ることができます。また、活性を保った酵素も大きな魅力です。

市販品の多くは発酵の進行を止めるために加熱処理(火入れ)がされていますが、手前味噌は酵素の活性を保ったまま熟成させることができます。この非加熱の生味噌には、失活していない酵素や酵母がより多く残り、栄養価と風味の高さに貢献します。

手作りすることで、味噌を“なんとなく”の調味料から“確信”の健康源へと変えることができるのです。

麹を変えて楽しむ、日本の味

手作り味噌の醍醐味は、ベースとなる麹の種類を変えることで、様々な風味の味噌を作れることです。米麹を使えばやさしい甘みの「米味噌」に、麦麹を使えば香ばしさが引き立つ「麦味噌」に、豆麹を使えば時間はかかるものの、大豆の旨味がぎゅっと凝縮された「豆味噌」に仕上がります。

自分好みの麹を選び、季節の移ろいとともに発酵がゆっくり進んでいく様子は、食育の観点からもとても魅力的です。

米味噌の作り方

米味噌の材料
・生米麹  500g
・茹で大豆 1,000g(乾燥大豆約500gを茹でた後の重さ)
・塩(総量)200g ・塩切り用(仕込みに使う塩)150g
・塩蓋用(表面に振る塩)50g

・乾燥麹 500g使用の場合水に戻さずそのまま仕込む場合、大豆の煮汁を多めに取っておき、硬さを調節する。

水に戻す場合、40~50℃程度に温めた煮汁(または水)を、乾燥麹に対して5~10%(500gの麹なら25g~50g)用意し、乾燥麹に振りかけ、混ぜ合わせる。
麹を15分~30分ほど休ませて水分を吸わせ、麹がやわらかく、芯がなくなっていたらOK

1. 大豆を茹でる・潰す

《写真02》
乾燥大豆500gを一晩水に浸し、

《写真03》
灰汁をこまめにすくい、差し水をしながら

《写真05》
親指と薬指で簡単に潰せるくらいまでやわらかく茹でます(約2~3時間)。

《写真04》
煮汁は捨てずに、味噌の硬さ調節用に約100~150cc程度残しておきます。

《写真06》
茹で大豆が人肌程度に冷めたら袋に入れ、空き瓶を寝かせ、なめらかになるまで丁寧に潰します

(袋は漬物用2Lを使用)

写真02
写真03
写真05
写真04
写真06

2. 混ぜ合わせる

《写真07》
ボウルに生米麹500gと、仕込みに使う塩150gを入れ、

《写真08 写真09》 両手で擦り合わせるようにしてよく混ぜ合わせます。

写真10
潰した大豆と塩切り麹を混ぜ合わせ、全体が均一になるまでよく捏ねます。

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写真09
写真10

⒊味噌玉を作り、詰める

写真11, 写真12, 写真13, 写真14, 写真15
混ぜ合わせた材料を、握りこぶし大の味噌玉にしてから2~3個ずつラミジップに入れ、空気が入らないように強く押し付けながら詰めていきます。
※底に空気が入らないように特に気を付ける。
※味噌玉を作る際、水分不足でまとまらない場合は、残しておいた煮汁を少量ずつ加え、やわらかさを調整します。表面を平らに整え、計量した塩蓋用の塩50gを、表面全体とラミジップの内壁に沿って均一に振りかけます。

写真16
袋の内側をキッチン用アルコールか、ホワイトリカー35度を含ませたキッチンペーパーで綺麗に拭き上げる。

写真17》
ラミジップを逆さまにし、中の空気をできる限り抜き、口をしっかり閉めます。

《写真18》
発酵が進んでくると全体が柔らかくなり、袋が膨らんでくるので、カビの有無を確認をしながら空気を抜く作業を繰り返して下さい。
乾いた上面に特にカビが生えやすいので、たまりが漏れないように注意しつつ、時々上下を逆にして保管すると良いです。
冷暗所に置き、約半年間熟成させます。

出来上がった手前味噌の保存方法

A. 冷蔵保存(推奨)最も手軽で、非加熱の「生味噌」の良さを活かしやすい方法です。

①熟成が完了した味噌を、清潔な密閉容器(タッパーなど)に移し替えます。

②表面をラップでぴったりと密着させて覆い、空気に触れないようにします。

③蓋をしっかり閉め、冷蔵庫で保管します。低温により酵母や酵素の活動が抑えられ、風味と色の変化が遅くなります。


B. 冷凍保存(さらに長期保存したい場合)数年単位で保存したい場合に最適です。

①1回分(例えば200gずつ)など、使いやすい量に小分けし、ラップで包みます。

②ジッパー付きの保存袋などに入れ、空気を抜いて口を閉じ、冷凍庫で保存します。

③ 味噌は塩分が高いため完全に凍結せず、カチカチになりません。

使う際は、冷凍庫から出してすぐにスプーンなどで削って使用できます。
使用時の注意点 味噌を取り出す際は、必ず清潔で乾いたスプーンを使用してください。
水分や雑菌が入ると、カビや腐敗の原因となります。
使うたびに表面を平らに整え、再度ラップを密着させて空気に触れる面積を減らしましょう。

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熟成・保存中に見られる白い斑点(チロシン)について

《写真28》
手前味噌を長期保存していると、表面や内部に白い粒や斑点が現れることがあります。
これはカビと間違えられがちですが、多くの場合、アミノ酸の一種であるチロシンが結晶化したものです。

チロシンとは?:大豆のタンパク質が分解されてできるアミノ酸であり、旨味成分の一つです。
味噌がよく熟成している証拠であり、身体に害はありません。

写真28