愛知県春日井市にある「アトピースキンケアクリニック」は、
全国的にも珍しい、アトピー患者専用のクリニックです。
アトピーの患者さんと向き合う中で、
その人の人生が少し前に進む瞬間に、
大きなやりがいを感じてきた院長。
患者さん一人ひとりと向き合う中で、院長が大切にしているのは、
一般的なクリニックという枠にとらわれず、
患者さんが心地よく過ごせる環境も大切にしているという考え方です。
通常の医療施設ではコストや機能性が優先されがちな中、
このアトピースキンケアクリニックは、空間の心地よさや素材の質感にまでこだわり、
「空気がうまい家」の自然素材を用いて設計されました。
院長が初めてモデルハウスを訪れた際に感じた体感や、
「空気がうまい家」のコンセプトが、
治療に対する想いや考え方と重なり、
クリニックの空間そのものにも、患者さんに寄り添うための想いが、丁寧に込められています。
出会いは、感覚から
知人からの紹介で、住む人の健康にこだわった家づくりをしている建設会社が豊橋にあると聞き、前のめりで「空気がうまい家」のモデルハウスを訪れたことが始まりでした。
その空間に入った瞬間、
言葉よりも先に、ここだ!っていう感覚が自然と湧き上がり
理屈ではなく、久しぶりに、何かに強く惹かれるような感覚だったといいます。
帰宅後もその空間のことが頭から離れず、自身の娘さんを連れて、再びモデルハウスへ。
娘さんからも、
「あそこ、なんか気持ちいいね」と自然にこぼれた一言。
その言葉を聞いて、自分の選択が間違ってなかったと確信しました。
他と比較するというよりも、
「ここでやりたい」と思えたこと。
最初は半信半疑だった部分もあったものの、
自身も空気環境や音響熟成木材のことを調べていくうちに、他の選択肢は考えられなかったとのこと。
体感を通じて価値を実感し、
「感じてみることが答えなんだと思った」と振り返ります。
この空間は、人が忘れかけていた
“身体が心地よいと感じる感覚”を思い出させてくれる場所でした。
だからこそ、こんな空間でのクリニックづくりは
「きっと面白いものになる」と、自然に思えたといいます。
心地よさから設計された空間
このクリニックで最も大切にされたのは、
患者さんが最初に過ごす「待合室」でした。
先生が目指したのは、病院らしさを感じさせない、
カフェのように自然と力が抜ける居心地のいい空間。
自身のイメージを正確に伝えるため、趣味のオートバイで実際に心地よいと感じる場所を探す旅に出かけ、設計士とともに体感を共有しながら、少しずつかたちにしていきました。
その心地よさは、診察室にもそのままつながっています。
診察室に入った瞬間、
空気感が変わってしまうことのないように。
待合室から続く空間の流れを大切にしながら、
内装や家具の質感にも統一感を持たせています。
また、診察室にはパンフレットが手に取りやすく配置され、
医師の説明とあわせて自然に目に入ることで、
安心感につながるように。
診療のしやすさにも配慮され、
無理のない姿勢で対応できる設計としています。
患者さんにとっての安心と、
医療を支える側の負担軽減。
その両方を大切にしながら、
この空間は丁寧に整えられています。
人を支えるための環境
医療の現場は、想像以上に過酷です。
患者さんだけでなく、
働くスタッフもまた、日々大きな負荷の中にいます。
だからこそ、このクリニックでは
「働く人が健やかであること」も大切にされています。
無理をし続けるのではなく、
ふと力を抜ける時間や場所があること。
仕事の外にも、気持ちを整えられる“抜きどころ”があることの大切さを、
院長自身も強く感じてきました。
そうした“余白”があることで、
人はまた誰かに向き合うことができる。
その考えが、空間づくりにも反映されています。
この場所に込められたもの
長年アトピーの患者さんと向き合う中で、
そして院長ご自身もまた、同じ悩みを経験してきた一人として、
心の中には、ひとつの想いがありました。
「治療だけで終わらせたくない」
治療の先にある、
自分らしく過ごせる日常や、
人と関わることへの前向きな気持ち。
その一歩を支える場所でありたい。
このクリニックは、
そんな想いから生まれています。
この場所に込められた想いは、
目に見えるかたちとしても、そっと表現されています。
想いをかたちにした象徴(あとぴ如来)
このクリニックには、
「あとぴ如来」と呼ばれる象徴的なキャラクターが存在します。
アトピーと向き合い、悩みながらも日々を過ごしてきた人が、
少しずつ前に進み、乗り越えていく。
その先にある姿を重ねて生まれた存在です。
デザインは、薬師如来像を参考にしながら、
細部に至るまで何度も見直しが重ねられました。
制作に携わったデザイナー自身も、
アトピーの経験を持つ一人。
だからこそ、このキャラクターには
単なるデザインではない、実感のこもった想いが込められています。
この場所に流れる考え方や願いを、
そっとかたちにした存在でもあります。
今回ご紹介させていただいたクリニックの詳細は
以下よりご覧いただけます。