昔から人々の暮らしの中に息づいてきました。
けれども忙しい日々の中で、その小さな幸せや感動を
見過ごしてしまいがちです。
人生にはどんな日にも意味があり、自然とともにある
暮らしにこそ幸せの種があります。
『日日是自然』は、四季折々の恵みや先人の知恵、
心と体を整える暮らしのヒントを通じて、
日常に自然を取り戻すきっかけになればと願っています。
小さな気づきが、大きなやすらぎにつながりますように。
甘酒
夏至に嗜む、“飲む点滴”とも呼ばれる甘酒の知恵
~夏の季語としてのルーツと、生米麹の豊かな力~
陽光が最も長く降り注ぐ「夏至」。
古くから日本人は、この季節の変わり目を「甘酒」という知恵で乗り切ってきました。現代では冬のイメージが強い甘酒ですが、実は俳句の世界では「夏」の季語。江戸時代には、天秤棒を担いだ甘酒売りが街を練り歩き、夏の栄養補給として多くの人々に親しまれていたといわれています。過酷な暑さの中、人々は発酵の力を暮らしに取り入れながら、日々の体調を調えていました。
甘酒には大きく「米麹」と「酒粕」の二種類があります。米麹の甘酒は、“飲む点滴”とも呼ばれる、ノンアルコール・砂糖不使用で親しまれてきた発酵飲料です。一方、酒粕の甘酒は、酒粕を湯でのばし、砂糖を加えて作られることが多く、芳醇で奥深い風味が魅力です。
また、教室などでよく聞かれるのが「甘酒」と「甘麹」の違いです。甘酒は飲みやすいよう水分を多く仕上げるものが多く、甘麹はより濃厚に仕上げたタイプを指すことがあります。私の教室では、麹と水だけで仕込む濃厚なタイプを「甘麹」と呼んでおり、ジャムのような自然な甘みを活かして、そのまま食べるのはもちろん、お砂糖代わりの万能調味料としても活用しています。
私が甘酒や甘麹作りで大切にしているのが、乾燥させていない「生米麹」を使うことです。生米麹は乾燥麹に比べて酵素活性が保たれやすいとされており、そのため糖化が進みやすく、すっきりとした優しい甘みへとつながります。
フレッシュな生米麹から生まれるやさしい甘みと発酵の恵みは、暑さでゆらぎやすい夏の暮らしを、内側から穏やかに支えてくれます。
そんな生米麹の魅力を、もっと気軽に楽しめるのが、夏のアレンジドリンクです。今回は、生米麹から仕込んだ3種類のアレンジドリンクをご紹介しています。
1. バナナと豆乳甘麹スムージー
材料(1人分)
・甘麹 50g
・無調整豆乳 100ml
・バナナ 1本(冷凍しておくと、よりとろみが出ます)
・レモン汁 少々(変色防止)
作り方
①バナナは適当な大きさに手でちぎります。
②全ての材料をミキサーに入れ、なめらかになるまで攪拌します。
※お好みでシナモンを仕上げに
2. キウイと甘麹のフレッシュスムージー
材料(1人分)
・ 甘麹 60g
・キウイ 1個
・水(または炭酸水) 50ml
作り方
①キウイは皮をむき、一口大にカットします。
②甘麹とキウイ、水をミキサーにかけます。
3. トマトと甘麹の冷製美肌ドリンク
材料(1人分)
・甘麹 50g
・完熟トマト:中1個(または無塩トマトジュース100ml)
・レモン汁 小さじ1
※お好みでオリーブオイルとブラックペッパーを仕上げに
作り方
①トマトはヘタを取り、ざく切りにします。
②全ての材料をミキサーにかけ、しっかり冷やしてグラスに注ぎます。
おすすめの生米麹購入先
ここでは、生米麹を探している方に向けて、公式サイトで購入しやすい麹屋さんを3つ紹介します。
生米麹は、乾燥麹に比べてしっとりとしていて、麹本来の香りや風味を感じやすいのが特徴です。
■ 播州こうじや
公式サイト:https://www.bansyuukoujiya.ecnet.jp/komekouji.html
播州こうじやは、国産米を使用した手作りの生米麹を扱う麹専門店です。
■ 丸新本家(まるしんほんけ)
公式サイト:https://www.marushinhonke.com/
丸新本家は、和歌山県の老舗醸造元です。
国産米100%の生米麹を冷凍タイプで販売しており、甘酒・味噌・塩麹づくりに使いやすいのが特徴です。冷凍保存しながら必要な分だけ使いたい方にも向いています。
■ 小泉麹屋
公式サイト:https://www.koujiya.com/
小泉麹屋は、横浜の老舗麹屋です。
国産米を使った手作りの生米麹を販売しています。200g・500g・1kg・2kgなど量を選びやすく、用途に合わせて購入しやすいのが特徴です。
※購入する際は、商品名や説明に「生米麹」「生麹」「生米こうじ」「冷蔵」「冷凍」などの表記があるか確認することをおすすめします。
■ ヨーグルトメーカーで作る生米麹の甘麹
材料
・生米麹:300g
・60℃くらいのぬるま湯:300~350ml
(ぬるま湯を使う理由)
甘麹は、米麹の酵素が働くことで甘みが生まれます。
酵素が働きやすい温度は55~60℃前後のため、最初から60℃くらいのぬるま湯で仕込むと、発酵温度が安定しやすく、甘みが出やすくなります。
水から仕込むこともできますが、初めて作る場合はぬるま湯を使う方が失敗しにくくなります。
作り方
1. 生米麹を手でやさしくほぐします。
2. ヨーグルトメーカーの容器に生米麹を入れ、60℃くらいのぬるま湯を加えてよく混ぜます。
3. ヨーグルトメーカーを55~60℃に設定し、8~10時間ほど保温します。
4. 途中で1~2回かき混ぜると、温度と水分が均一になり、甘みが出やすくなります。
5. 麹がやわらかくなり、しっかり甘みが出たら完成です。
ポイント
・濃い甘麹にしたい場合はぬるま湯300ml、少しゆるめにしたい場合は350mlを目安にします。
・水分が少なすぎると麹が団子状になり、ボソボソしやすくなります。
・60℃を大きく超える熱湯は使わないようにします。
・飲む甘酒にする場合は、お湯や豆乳などで好みの濃さに薄めます。
■ 炊飯器とジッパー付き保存袋で作る生米麹の甘麹
材料
・生米麹:300g
・60℃くらいのぬるま湯:300~350ml
作り方
1. 生米麹を手でやさしくほぐします。
2. 食品用の耐熱ジッパー付き保存袋に生米麹を入れ、60℃くらいのぬるま湯を加えます。
3. 袋の上から軽くもみ、麹とぬるま湯をよくなじませます。
4. 炊飯器の内釜に布巾を敷き、袋の口を少し開けた保存袋を入れます。
5.炊飯器を「保温」にし、ふたは完全に閉めず、開けた状態で8~10時間保温します。
6. 途中で1~2回、袋を軽くもんで全体をなじませます。
7. 麹がやわらかくなり、しっかり甘みが出たら完成です。
ポイント
・ジッパー付き保存袋を使うと、表面が乾燥しにくく、しっとり仕上がります。
・濃い甘麹にしたい場合はぬるま湯300ml、やわらかめにしたい場合は350mlを目安にします。
・保存袋は食品用で、耐熱温度を確認して使用してください。
賞味期限
冷蔵7~10日、冷凍2ヶ月。
甘麹の使い方
・そのまま甘麹として食べる
・お湯で薄めて甘酒にする
・豆乳や牛乳で割る
・ヨーグルトにかける
・砂糖代わりに料理やお菓子に使う